泣いて、凪いで、泣かないで。

結月の説教はそれから暫く続いた。

俺はその間中、笑いながらも、目の前の空と海を見ていた。

これから日が上り、朝日の眩しさに人々は目を細めるのだろう。

白い雲が流れ、朝日を待っている。

波は穏やかで昨日の影もない。

風は凪ぎ、かすかに頬を撫でる。


「おにい、なにしてんの?閉めるよ!」

「ごめん。今行く」


この風景を切り取って心のアルバムにしまいこんだ。

この風景を閉じ込めておきたいと思うほど、俺の心を強く打つ景色だった。