泣いて、凪いで、泣かないで。

「なぁ、美凪」


泣き疲れてぐっすり眠ってしまった美凪に俺は問いかける。


「美凪は俺のこと、どう想ってる?」


答えなんて返ってくるはずもない。

今は夢の中なのだから。


「俺は......俺は、さ......あの日、あんなことになったけど......なったけど、な......」


美凪のことを嫌いになったわけじゃない。

好きじゃなかったわけじゃない。

むしろ、その逆で......

一緒にいればいるほど、

美凪が近づけば近づくほど、

俺の心の中の淡い色が広がっていったんだ。

白い画用紙に乗せたピンクの絵の具の1滴が徐々に染みて広がっていくように、

俺は美凪を......。