泣いて、凪いで、泣かないで。

父さんに連絡してから、ジャージを脱いで洗面所を借りて水を絞った。

まだ濡れてるし、冷たいし、こんなの着ている方が風邪を引きそうだが、この前あんなことがあったばかりだから、不用意に脱ぐことは出来なかった。

あの反応で、俺は少し思った。

美凪は俺を意識してるんじゃないかって。

汐衣愛や夏綺と話すのとは違うものを感じたんだ。

そして、最近の行動。

俺の疑念が確信に変わろうとしている。

それを知ってどうするのか。

俺はそれを自分自身に問い続けているが、答えはまだ出せていない。

ただ、自分の心にある美凪に対するこの複雑な気持ちは、単に3年前の後ろめたさや罪悪感だけではないと、それだけはわかっていた。

そして、今、目の前にいる美凪に俺は手を伸ばしてしまう。

寝ているならいいだろうと、 俺は美凪の髪に触れた。

汐衣愛と同じくらいにまで長かった髪が、今はこんなに短い。

それも俺のせいなのではないか。

美凪が苦しむのは全部、きっと......

おれのため、

おれのせい。

あの日の俺の間違いのせい、

なんだ。