泣いて、凪いで、泣かないで。

―――ドカーン!


ものすごい雷鳴が響いた。


「きゃあっ!」


大丈夫と言った矢先に、叫んだ。

美凪は、全然大丈夫じゃない。

ほんとは、これっぽっちも大丈夫じゃない。

ずっと、怖かったんだ。

俺は美凪の隣に腰掛けた。

側にいるだけで安心させられるほど、包容力がないとしても、そこにいたかった。


「1人だったから、ずっと、怖くて...怖くて怖くてたまらなかった」

「美凪...」


美凪がポツリポツリと言葉を紡ぐ。


「今も怖い。怖くてもう...ダメだ......」


今までの心労も重なったのか、美凪は泣き出した。

まるで外の土砂降りの雨のように、止めどなく涙が頬を伝っていく。

そんな彼女を見て俺の口から自然に言葉が出た。


「心配するな。俺がいる。どこにもいかないから」


どこにもいかない。

そんなの、嘘だ。

俺はなんでそんなことを言ったんだ?

嘘の約束なんて、そんなのしたって意味ないのに。

どうして、俺は......。