泣いて、凪いで、泣かないで。

―――バチッ。


「えっ?」


俺はびっくりして急ストップした。

街灯も家の電気も音も全てが消えて真っ暗闇になった。

暗黒の世界が目の前に広がり、

空は灰色の分厚い雲で覆われ、

怒りの雨を降らし、

海は高波を連れてこちらに迫ってくる。

雷鳴が轟き、地に落雷を貫く。

風は雨と共に身体に叩きつけ、

俺に何かを訴える。

消防車のサイレンの音が遠くで鳴っている。

俺は再び走り出した。

ここまでくればもう分かる。

美凪の場所が分かる。

今、行く。

だから、

待っててくれ。