泣いて、凪いで、泣かないで。

「俺が行ってくる。たぶん戻っては来れないから、着いたら連絡する」

「おい!結人!待て!」

「おにい!」


体育館から職員室に渡り、教頭先生から余っていた懐中電灯を借りてポケットにしまうと、全速力で坂を下り、海の近くのあの家を目指した。

傘なんて差さない。

差してなんていられない。

早く救わなければならないから。

一刻も早く、美凪の元に行かなければならないから。