泣いて、凪いで、泣かないで。

俺はバクバクする心臓を押さえながら父の元へ走った。

嫌な予感がする。

ってか、嫌な予感しかしない。


「父さん」

「おにい!ねぇ、どうしよ!みーちゃん、家に1人だって」


やっぱそうか。


「こうなるなら美凪ちゃんも連れてくれてくるべきだった。本当に申し訳ない」

「申し訳ないじゃなくて、行ってよ!みーちゃん、連れてきて!」

「でもこの雨じゃあワイパーと雨で前が見えないしなぁ」

「それでも行って!みーちゃんを助けて!1人なんて可哀想だよ!ねぇ、お父さん!」


結月が半べそになり、父の胸を拳で何度も叩く。

俺の心臓のドアが叩かれている気がする。

このドアの先にある感情は、良く見えない。

だが、なんとなく、やるべきことは分かる。

だから、俺は...いく。