泣いて、凪いで、泣かないで。

「美凪!」

「いったぁ...。もぉ、何すんの?!」


頭に先ほど配布されたばかりの教科書をドシンと乗せてくるものだから、頭頂部が痛くてたまらない。

席が前後だと防げないから困ってしまう。

毎年始めの席は瀧内と鳴海だから、前後スタートなんだよね...。

頭をさする私をよそにゆっとは話し始める。


「今日バイトあるよな?」

「うん」

「つうことは、夕飯も一緒だよな?」

「いっつもそうでしょ」

「なら、今日は夏綺(なつき)も煌人(あきと)も呼んで皆で結月(ゆづき)の高校入学祝いしよーぜ!」


はい?

そう聞き返したくなるのをぐっとこらえた。


「あのさ、急に言われても困るよ...」

「汐衣愛も来てくれるって言ってたし、用意頼むな!んじゃ、また!」

「ちょ、ちょっと!」