泣いて、凪いで、泣かないで。

私は早めにバイトを切り上げることが出来たから家に戻り、冷蔵庫の中に入っていた作りおきの肉じゃがを温めた。

にんじんが嫌いだというゆっとのためににんじんは少量で、しかもすりおろしてある。

さすがに今日はおじさんも飲みに行かないだろうし、おばさんも夜勤がないと同僚の母が言っていたから、家族4人でおばさんの手料理を食べるんだろう。

だから、これは明日持っていく。

もう1つのタッパーに鳴海家用と書いた付箋をぺたりと貼り付けた。

それを悲しいなんて思ってはいけないのだけれど、悲しいって思わずにはいられない。

悲しくて、切なくて、なんだか惨め。

そして、胸が苦しい...。

私は温めた終わった肉じゃがを見つめた。

肉じゃがが1番好きだってゆっとから教えてもらった小5の時から練習して、良く届けていた。

幼い頃もしょっちゅう鳴海家に上がり込んで、おじさんも含めて4人で食事をしていたんだよね。

懐かしい。

だけど、思い出せば出すほど苦しくなる。

私は思い出さないように、肉じゃがを口いっぱいに詰め込み、良く噛みもせず飲み込んだ。

そして、湿気で生えたかびの臭いがする和室の自分の部屋にこもる。

布団を引いて掛け布団を被った。

遠くで雷の音がする。