泣いて、凪いで、泣かないで。

「何してたんだよ」

「えっと、その...雑巾とバケツを探してて...」

「あぁ、雑巾は昨日捨てた。バケツは雨漏り用に2階の屋根裏部屋に持ってってる」

「そ、そっか。本当にごめん。なんか、色々と...ごめん」


私がそう言うと、ゆっとはいつものように頬をつねってきた。


「悪気がないのは分かってる。だから、もう謝んな」

「うん」

「それより、今日は煮込みハンバーグなんだろ?冷めないうちに食べよう。掃除はそのあとオレが自分でやるから」

「うん...」


ごめん、ゆっと。

迷惑かけて、ごめん。

それに......やっぱり、

ごめん。

心の中でごめんを何度も呟きながら、少し冷めて固くなってしまったハンバーグを食べたのだった。