泣いて、凪いで、泣かないで。

「美凪、そこいるんだろ?」

「ひぇっ!」


ドアの向こうから声がした。


「どいてくれ。出られねぇだろ」

「あっ...ごめん!ほんと、ごめん!」


もぉ、今日は一体何回謝ってるの?

全然しっかりしていない。

なんか、ずっと動揺してしまって魂が体から抜けて浮遊しているような感じがする。

心ここに在らず。

その言葉がしっくりくる。

ギーッとドアが開いて中からまだ髪が濡れたままのゆっとが出てきた。

出てきた瞬間、辺りにフレッシュな良い香りが広がり、私の脈をさらに加速させていく。