「とりあえず一旦、涙止めて出てこいよ。
着替えは、ばあちゃんに取りに行ってもらうから。」
それだけ言って、脱衣所から出ていく桜河の背中を見送る。
「…うぅ〜っ……ッ……」
脱衣所にモワッと立ち篭る湯気が、私の涙腺を再び刺激する。
…ねぇ、柊吾。
私達、何を間違ったのかな…?
幼なじみの関係を壊して、それ以上を望んだことがいけなかった?
幼なじみのままだったら、こんな辛い思いをすることもなく、笑い合っていられたのかな…
私は、ここが桜河の家だということも忘れて泣きじゃくった。
泣いて泣いて、泣き枯らして…
それらをすべて水に流した。



