────…しかし、私の願いはすぐに打ち砕かれる。
季節ごとの花が綺麗に咲き誇る旅館の庭園。
この日も、綺麗なシュウメイギクの花が咲いていた。
その皮肉な程綺麗な花の中で、私は2人を見つけてしまった。
泣きつく桃奈さんを、ただ何も言わずに受け入れる柊吾。
……あの電話、やっぱり桃奈さんだったんだ…。
あの状況、あのタイミングで…
彼女である私に嘘をついてまで、桃奈さんの元に駆けつけた理由はわからない。
…そんなもの、わかりたくもない。
月明かりに照らされて重なる2人の影が、私の胸を抉る。
やだ…キモチワルイ…
突如襲った吐き気に足元がふらつき、一歩後ずさると、落ちていた小枝を踏んでしまう。
パキッという小さな音に、2人はこちらを振り返った。



