冷たい夜風が肌を刺す。
息が上がる。苦しい…。
こんなに走ったのはいつぶりだろう?
もしかしたら、柊吾は何か家の用事で帰ったのかも知れない。
私には言いづらい家庭の事情とか…
…だって、彼が桃奈さんに会いに行ったのだという確証はないんだから…
そう思いたいのに…
心臓は嫌な音を立て、背中には冷や汗が伝う。
旅館に向かう足はスピードを速める一方で…
『もう、絶対に不安になんてさせない。』
『約束だよ?』
『うん。』
指切りをして2人で笑い合ったあの日の約束を、私は信じてる。
大丈夫だよね?信じていいよね?
ねぇ…柊吾。



