─────────
式が終わり、最後のHRまで終えたあと、私は一人体育館に向かう。
卒業生もほとんど皆帰り終えた今頃まで、私が学校に残っているのは…
……大切な人に自分の想いを伝えるため。
爆発しそうなほどうるさい心臓。
緊張をほぐすように何度か深呼吸をしていると、彼の声が聞こえてきた。
「…香純。」
低く、だけどどこか優しそうなその声。
ずっとずっと、私はこの声が大好きだった。
「─────…柊吾…。」
「ごめん、お待たせ。」と申し訳なさそうに笑う彼の制服は、全身はだけてしまっている。
ネクタイやブレザーのボタンはもちろん、ワイシャツのボタンまで何個か取られていた。



