「…柊吾?起きてる?」
「うん、起きてるよ。」
私が部屋に入ると、彼はそれまで読んでいたであろう本をベッドの脇に置く。
「身体…平気?
頭痛とか、吐き気とかない?」
「うん、平気だよ。
家のこと色々やらせて、ごめん。」
そう謝る彼の表情は、どこか暗い。
頭に巻かれた白い包帯は、あまりにも痛々しくて…
胸がギュッと締め付けられた。
さっきからずっと…何をしてても、あの時のことが頭から離れない。
モップを振り下ろす彼女の表情。
力なく私に身体を預けた柊吾の重み…。
あの時、私の脳裏に過ったのは…
〝死〟という言葉だった。
柊吾を失うと思った。
もう、二度と会えなくなるのではないかと…
あ、だめ……涙でそう…
私は咄嗟に俯き、早口で柊吾に要件を伝える。



