だけど、柊くんにはずっと好きな子がいた。


いつもいつも私の隣で嬉しそうに語る〝かすみ〟という女の話。

私は、会ったこともないその女が、ずっとずっと大嫌いだった。






…ねぇ、柊くん。

どうしたら私だけを見てくれるの?

どうしたら私だけの柊くんになってくれる?




……あぁ、そうか。

既成事実さえ作ってしまえばいいんだ。







そう思いついた私は、中2の夏休み、柊くんに頼み込んで誰もいない我が家に泊まりに来てもらった。




彼の食事に睡眠薬を盛り眠らせると、彼が纏っていた衣類をすべて脱がせた。


多少の幼さは残りながらもほとんど大人に近いその体付きに興奮しつつ、私は自分の衣服も脱ぎ捨て、彼の隣に寝た。







〝ひとつ屋根の下で、桃奈を抱いた。〟

そんな既成事実を作ることで、誠実な彼はきっと私だけを見てくれるようになると考えた。