──────ピーーーッ!!!






「そろそろ練習始めるぞー!」









高いホイッスルの音と、水泳部コーチの大きな声がプール内に響き渡って…

その音たちと同時に、私に優しく触れていた彼の温もりも離れていく。









「悪い。戻んねーと。

…差し入れ、ありがとな。」





「うん、練習頑張ってね。」









どこか申し訳なさそうな表情を浮かべた彼にガッツポーズを送ると、彼は駆け出して…

そして、すぐにこちらへと向き直った。







え、何??

何か忘れ物でもしたのかな?






首を傾げる私の元へと、彼は再び歩みよる。