「成宮おつかれー。

それ運ぶの?手伝うよ。」






そう言って私からカゴを奪った男の子は、
‘ まっつん ’こと松井岳(マツイ ガク)。

私と柊吾が付き合うきっかけを作ってくれたのが、まさにこの彼。







「ありがとうー、まっつん。

助かるよ。」





「いえいえ。

なんか…こういう仕事、ほとんど成宮がやってねぇか?」





「まっつん、君めっちゃいいヤツだね。」





「お…?そ、そうか?」







彼女の美貌に浮かれきった選手たちは、なかなかそんなことには気づかない。

彼女のことをチヤホヤして、そのくせ重要なことは全部私任せ。



今まで私の居場所だと思っていたこのバスケ部が、何だか少し変わってしまったようで寂しかった。