それ以上柊吾を見ていたら、気持ちが揺らいでしまいそうだった。
私にとって、柊吾はもう過去の人なのに…
それに私は、今は桜河のことを…
「あ、始まるよ!」
飛び込み台に並ぶ選手たち。
その中でもひときわ背が高くガタイの良い男をじっと見つめる。
「…桜河っ!頑張れ!!」
自分の中に生まれたわずかな迷いや不安を吹き飛ばすように、私は大声で叫んだ。
その瞬間、桜河がこちらを見て笑った気がした。
〝───Take your marks〟
その掛け声の数秒後にビーッという無機質な機械音が響き、選手達は一斉にプールに飛び込む。



