「はい、葵ちゃん。
よかったらこれで拭いて。」
「ありがとう!咲花ぁ!!」
彼女のハンカチを受けとるや否や、それに頬を擦り寄せる葵斗に思わず笑う。
「柊吾もこれ使って?風邪ひくよ。」
「…え?……あぁ、ありがとう。」
「…ん……?」
ふと、私が差し出したハンカチに手を伸ばす彼の腕に目が留まる。
あ…
このリストバンド…
柊吾の右手首に付けられたシンプルな黒いリストバンド。
あの時、私がプレゼントしたやつだ…
…ちゃんと、付けてくれてるんだ。
「…あ……」
柊吾は私の視線に気づくと、慌てたように自分の右腕を隠す。
そして気まずそうに目を逸らした。
その様子になんだか少し胸が痛んで…
私も慌てて彼から目を逸らして、プールサイドで準備を始める桜河の方を見た。



