「くだらないことするなよ!」
声を荒らげる俺に、桃奈は肩をびくつかせる。
桃奈が驚くのも当然だ。
自分で言うのもおかしいけど、俺は他人にここまで怒ることは滅多にない。
ましてや、桃奈は精神的に不安定なところがある。
そんな彼女には、いつも気を使って接してきたつもりだ。
…だけど、今回のことはどうしても怒らずにはいられなかった。
「…柊くん。怒らないって言った…」
悲しそうに瞳を伏せる桃奈に、俺は一度大きく深呼吸をする。
そうだ…。
そう言って本当のことを聞き出したなら、彼女を怒るべきでは無い。
それに今はそんなことよりも…



