君のとなりで恋をします。─下─









そして桃奈は、1冊のノートを取り出した。










「これ…川上のデータ…」




「…本当は私が持ってるの。」








突然部からなくなって、そして今も香純が必死で探しているであろうデータ。




そんなものを、なぜ桃奈が…

いや、そんなことよりも…











「…なんであの時、何も言わなかった?」







キャプテンが部員たちに向かって質問をした時、いくらでも言うチャンスはあったはず。

それにもかかわらず、桃奈は俺の横でたしかに「知らないです」と言った。




シンとした体育館で一人でデータを探す香純の姿を思うと、胸が締め付けられた。


黙り込む桃奈に、俺の怒りはふつふつと煮えたぎって…