隣でキャッキャッと笑う桃奈が、急に恨めしくなる。
だけど…もしぞんざいに扱ってしまえば、桃奈は何をするかわからない。
3年前、自ら手首を切った桃奈。
もう二度と…あんなことはさせたくない。
愛おしい彼女に寂しい思いをさせていると気づきながら、桃奈に対して愛想笑いを浮かべることしか出来ない自分が嫌になる。
「ねぇ…
香純さん、今きっとデータ探してるよね?」
唐突にそんなことを言い始める桃奈。
桃奈が香純の話をするなんて珍しい。
「ん?…あぁ、そうかもね。」
香純の性格からして、探さないわけがない。
他の部員を帰してから、きっと今も1人で必死に探しているはず。



