「試合ももう近いんだから、早く帰って疲れをとって。…ね?」
私がそうお願いすると、柊吾は渋々「わかった」と頷く。
「…何かあったら連絡して。
それと、なるべく人通りが多い道を帰ること。」
「はいはい。わかったよ。」
桃奈さんに半ば強引に引っ張られていく過保護な柊吾を、手を振って見送った。
…さて、探すか。
部員たちが全員帰ったことを確認して、私はもう一度体育館倉庫に入る。
部員たちの返信を待った方が、もちろん効率がいいこともわかってる。
でも、部にとって大切なデータをなくしてしまったのに、じっとしている事なんて出来なかった。



