「香純、大丈夫か?」
全身に力が入らない。
意識が朦朧とする私は、咲花の腕から桜河の腕に移され、そのまま抱き上げられる。
「とりあえず保健室に行こう。」
“大丈夫だから”と、私を安心させるように言った桜河は、もう一度さっきの男子生徒の方を振り返る。
「…お前の顔、覚えたから。」
低く冷たい声でそれだけ言うと、ゆっくりと歩き出す。
今の、相当怖かっただろうな。
一言だけであの威圧感。
バカ…また怖がられちゃうじゃん…。
でも…守ってくれてありがとう。
力強くも心地よい桜河の腕の中で、私は意識を手放した。



