きみに ひとめぼれ


しばらくすると、サービスエリアに到着した。

ずっとスマホを見ていて少し気分が悪くなったので外に出た。

外はすっかり冷えていたけど、空気がすっきりとしていてだんだん気分も楽になる。

「あかり」と呼ぶ声がして振り向くと、由美と詩織がいた。

その姿を認めて、私は慌てて近寄った。


「由美、ごめん。成り行きでああなっちゃって」


私が言っているのは、もちろん座席のことだ。


「いいよ、いいよ、気にしないで。勝見君と何か話した?」

「別に何も。お互いスマホ見てたし」

「そっか。

 あかり、勝見君といるとすごく楽しそうだし、あかりはもしかして勝見君のこと好きなのかなって、ねえ、詩織」


「うんうん、勝見君もすごくわかりやすいよね。

 あかりのことずっと見てるし、あかりに対してすごく優しいし。

 両想いじゃんって、由美と話してたんだ」


「そんなんじゃないよ、気のせい、気のせい」


そうやって否定したけど、実際はすごく嬉しかった。

私たちは、そんな風に見えているのか。

二人の話を聞くだけで、ドキドキしてしまった。

「両想い」という言葉に、全身に火花が走る。

嬉しいのに、どこかで「そんなわけないじゃん」と否定する自分もいて、でも否定しながらも顔はにやけていた。

もうすぐ休憩時間が終わってバスに戻らないといけないのに、顔は火照ったままで、そんな顔のまま勝見君の隣には座れないと思った。

肌寒いと思ったくらいの外の空気のはずなのに、その寒ささえ、今はとても心地よかった。