きみに ひとめぼれ


「化粧直してから行く」と言って由美はトイレに向かった。

それに詩織もついていく。

化粧のことなんて気にする気になれない私は、早々にバスに乗り込んだ。

バスにはまだ数人しか乗っていなくて、私もグループで決められた席に着いた。

鞄を足元に置いて椅子に腰を下ろすと、疲れがどっと押し寄せてくる。

窓ガラスに頭を押し当てて、京都の景色を名残惜しんだ。

本当は、何も見えていない。

何も考えたくない。

バスの外にはまだ人がたくさん集まっている。

まだみんな乗り込もうとせずダラダラと話しながら歩いている。

遠くの方に、本田君を見つけた。

探していたわけではない。

たまたま目に入った。

数人の男子と女子に囲まれて笑っている。

手にはお土産の袋らしきものを提げている。


 何買ったんだろう。

 どこ行ってきたんだろう。


なんでそんなことを気にしてるんだろう。

気持ちが余計重くなる。