きみに ひとめぼれ


図書室で一緒に勉強なんて、ちょっと青春してる感がある。

しかも女子と図書室で待ち合わせなんて初めてだ。

よく園田を待つときに時間つぶしに立ち寄ったりするぐらい。

今日は坂井さんと待ち合わせ。

坂井さんは掃除当番なので終わってから来る。


俺は図書室に足を踏み入れた。

人はほぼいない。

図書委員が二人いるぐらい。

入った瞬間、古い紙の匂いに体が包まれてピリッとなる。

グループ学習ができるように机をつなげている席が部屋の中央にいくつかある。

俺はその一つに腰を下ろした。

いつものなじみの席だ。


図書室は人を待つには最高の場所だと思う。

だって、こんなに本がたくさんあるのだから。

別に気難しい本とか辞書や事典を読んでいろというわけではない。

図書室には雑誌だってあるし、奥の方には漫画だってある。

ただ来ないから、みんな知らないだけ。

特に読みたい本があるわけじゃない。

ただ、俺は図書室という場所が好きなのだ。

ずらりと並ぶ本を眺めるのが好きなのだ。

だから、本屋も好きだった。

どうして好きかと聞かれても、理由なんてない。

何となく好きなのだ。

本を読むのも嫌いじゃない。

だから、目に留まった本ならどんな本でもとりあえず手に取る。

ファーストインプレッション、第一印象や直感は大事にしている。


__一目惚れも、直感の類だよな。


俺は自分に確認するように問いかけた。


あのテスト終了後の光景がすっと脳裏に蘇ってきて、目の前に並ぶ文字が急に読めなくなる。

首筋に何となく残る感覚をふと思い出してくすぐったくなった。