きみに ひとめぼれ


確かにこの旅行中、勝見君はとても優しかった。

混雑しているバスの中で人混みに押されないように庇ってくれていたり、お土産を持ってくれたり、ちょっとしたものを買ってくれたり。

私はそれを、自分だけ特別、なんて思ってたんだ。

だけど、他の女の子にも、勝見君は同じように接してたんだ。

勝見君は、優しいんだ。

みんなに。

「自分だけ」なんて自惚れていた自分が恥ずかしい。

だけど、恥ずかしさよりも不安がよぎった。


勝見君が、他の子に取られちゃう。


そんな風に思った。

怖くて話を聞かないようにしていた。

それなのに、どんどん耳に入ってくる。


「撮った写真送るからとか言って連絡先聞いちゃおうかな」


 そういえば、私は勝見君の連絡先も知らない。


「好きな子とかいるのかな。付き合ってる子とか」



 好きな子。

 付き合ってる子。

 そんなこと、聞いてもいいのかな。



「私がまた勝見君の隣でもいい?」


由美の言葉にはっと意識が戻った。




__だめ。


 

言葉にならなかった。

でも、どうして私がダメなんて言えるの?

彼女でもないのに。


「あかりも、それでいい?」


その言葉に、由美の興奮した声に、「うん」と小さく答えることしかできなかった。