きみに ひとめぼれ


学校へ向かうバスの周りには、次々と観光を終えた生徒たちが集まってきた。

私たちのグループも、何とか時間までに集合場所にたどり着いた。


「帰りのバスの席どうする?」


バスに乗り込む前に同じグループ行動をした由美が声をかけた。


「私帰りは絶対寝るから、男子の隣は嫌なんだよね」

「私も」


 由美と、もう一人同じグループの詩織は眠そうな顔をして拒否した。


「私、男子の隣でもいいよ」

「えーほんと? いいの?」と二人のキラキラした笑顔が復活する。

「いいよ、いいよ」と私も笑った。

でも由美の次の言葉で、一瞬息が止まった。


「でも、勝見君だったら、私隣でもいいかな」

「そういえば行きも由美が勝見君と隣だったよね。何かあったな」


詩織がニヤニヤしながら言った。


「そうなんだよねえ。

 勝見君って教室でも存在感薄いし、特にかっこよくもないし、ただの同じクラスの男子って思ってたけど、話してみると結構楽しかった。

 笑った顔もかわいいしさ。

 体育祭の一件でちょっと見る目変わったし」


「体育祭のリレー、すごかったよね。

 あれは確かにちょっとカッコよかったかも。

 この旅行中もずっと気遣ってくれてたし。男子がっていうより、勝見君が特別優しかったよね」


そんな言葉を聞いてドキドキした。

勝見君が女の子の話題になっている。