頬杖をついて勝見君を目で追っていると、ボールをゆっくりコロコロと転がす勝見君と一瞬目が合った。
その一瞬で、勝見君の目つきが変わったのが分かった。
足でしっかりとボールを止めていた勝見君が、ゆるりと動いた。
そして、ドリブルしながら徐々に走る速度を上げていく。
勝見君の前に立ちはだかる人は、誰もいない。
今までと違うのは、楽しそうに遊んでいる感じではなく、真剣な表情でボールを操っていた。
ゴールネットに向かってさらにスピードを上げてボールを運んでいく。
そのスピードに、きれいな走り方に、見事なボール運びに、目が離せなくなっていた。
勝見君はゴールネットよりもはるか手前で足を止めた。
そして、そこから思い切りボールをけり上げた。
ボールはまっすぐぶれることなく、ゴールネットの真ん中を打ち抜くように叩きこまれた。
本当に気持ちよく。
ボールがネットに収まる軽やかな音が、澄んだ空を伝って私の耳にまで届いた。
その瞬間、私の心臓も跳ね上がった。
頭に血が上っていく。
ネットにぶつかったボールは、宛てもなくころころと転がっていく。
静かなグラウンドに、ピッという鋭い笛の音が響いた。
「ナイッシュー」と掛け声が方々から上がる。
やっぱりそうだ。
思った通りだった。
勝見君は、かっこいい。
ドリブルする勝見君も、パスを回す勝見君も、シュートをきめる勝見君も。


