きみに ひとめぼれ


勝見君と下駄箱まで一緒に行って、そこで別れた。

もう部活が始まろうとしている時間なのに、勝見君はポケットに手を入れてゆっくりと歩いていく。

その後ろ姿を見送って、私は下駄箱に戻った。

上靴に履き替えて教室に向かう。

教室にはもう誰もいなくてしんとしていた。

私は窓際の机にカバンを下ろして、その窓からグラウンドを見下ろした。

サッカー部が集合している。

そこにはまだ勝見君の姿はない。

みんながパスの練習を始めたりウォーミングアップをしているところに、勝見君は慌てる様子もなく、まるでもともとそこにいたかのように自然と練習に参加していた。


__「なんていうか、空気みたいな」
 

そんな勝見君の言葉を思い出して、思わずふっと笑みがこぼれた。