きみに ひとめぼれ


最後まで残っていた私たちがプリントを集めて職員室に持っていく。

勝見君は一緒に行くと言ってくれたけど、部活があるから私が行くことになった。

数学の宿題はまた明日の放課後ということになった。

私も掃除当番があるから急いで教室に戻る。

ただ、みんなが私にいてほしいのは掃除の最後、ゴミ捨てに行く時だけだろう。

一か月の掃除当番は長い。

本田君を好きだったころは、毎日テニス部の前を通るのが楽しみで、ゴミ捨てなんて全然苦じゃなかった。

こういう口実がないと、なかなか本田君を間近で見ることはなかった。

帰宅部の私がテニスコートに向かって歩いてたら、なんか変でしょ?

それこそ本田君への気持ちが見え見えだ。

フラれた今となっては、掃除当番の残りの日々が長く感じる。