きみに ひとめぼれ


勝見君とは今年初めて同じクラスになった。

中学も違うし、一年生の時なんて名前もその存在すら知らなかった。

ただ、今年から同じクラスになったからって、急接近するものでもない。

クラスにそういう名前の人がいるという程度の認識。

下の名前すら知らない。

その存在を意識することなんてなかった。

とっても失礼だけど、勝見君は存在感が薄い。

そう、勝見君は、目立たない地味な男子のひとり。

私にとって、ただそれだけだった。

決して目立たない勝見君を私が認識していたのは、「か」と「さ」で進級当初の席が前後だったからだ。

いわゆる出席番号順。

その後何度かの席替えはあっても、テストの席順やグループ活動でのメンバーはこの出席番号順を基本としているので、勝見君とは何かにつけてグループが同じになった。

二年生になってからすでに5か月が経つ。

いろんなグループ活動があって、勝見君と関わることは何度もあったはずなのに、テストだって何回かあったはずなのに、勝見君の存在を意識したことなんてなかった。

だけどあの日以来、私は勝見君を目で追うようになった。

勝見君の表情や仕草を、私はとても新鮮な気持ちで見ていた。

時々目が合うと、すぐにそらしてしまうんだけど。