チャイムが鳴る前に先生が来た。
みんなあきらめの言葉を口々に、鞄に教科書をしまって教室に入っていく。
私も開いていた教科書をパタンと音を立てて閉じた。
そして窓際の一番後ろの席に向かった。
__ああ、もうダメだ。
教科書を見てたって、何も得るものはなかった。
私の頭では勘すら追いつかないのだ。
前から問題用紙が回ってくる。
私の前の席に座るのが、勝見君だった。
こちらを見向きもせず、ひらりと用紙を後ろに回す。
__不愛想なやつめ。
私はするりと受け取って机に置いた。
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