きみに ひとめぼれ


どんっ、という前の座席が揺れる衝撃で体がびくんと反応すると、そこでようやく俺たちは視線を外した。

彼女は下を向いたまま、いそいそと俺の襟をぐっと引き出した。

首元がすっきりする。


「はい、もう大丈夫」


彼女はそれだけ言って、窓の方を向いてしまった。


なんだかどっと疲れた。

もうこんなのは耐えられない。

正直ずっと我慢していたのだ。

何もかも。


聞いてしまおうか。



__俺のこと、どう思ってる?



どうしたらいいんだよ。

何が正解なんだ?

今どういう状況なんだ?

あの時「好きだ」と言ってしまえばよかったのか。

「付き合おうか」と言っていたら、今俺たちの間に、こんな変な空気は流れていな
いのか。

答えてくれよ。