きみに ひとめぼれ


ピーっと集合の合図が鳴る。

いつもはのろのろと走っていく俺の足が今日は違った。

足に力がこもる。

心臓まで、なぜだかどくどくと高鳴り始める。

神経が研ぎ澄まされて、自分が自分じゃなくなっていく感覚になる。


なぜだろう。

どうしてこんなにも気持ちが落ち着かないのだろう。

胸がざわついてしょうがなかった。

そわそわとする気持ちを何とか落ち着かせようと、体操服の胸のあたりをぐっとつかんだ。