きみに ひとめぼれ


坂井さんと下駄箱まで一緒に降りて、そこで別れた。

今日も天気が良かった。

まだまだ日差しがきついんだけど、たまにふわりと吹く風が、次の季節の始まりを教えているようだった。

見上げるたびにめまいを起こしてしまいそうだった夏空も、今では少し仲良くできそうなくらい向き合えた。

見上げた空は、どこまでも高く、どこまでも遠い。

ウォーミングアップも真面目に取り組んで、リフティングも調子がいい。

ボールの動きに合わせて体を動かしていく。

ボールだけに集中しているはずなのに、耳が周りのかすかな音を拾い始める。

風がさらさら流れていく音。

木々がざわざわとたてる音。

グラウンドの砂利をこする靴底の音。

スコーンと軽やかにボールを放つ、テニス部のラリーの音まで。