きみに ひとめぼれ


はーっと大きなため息が漏れて、天井を仰いだ。

頭と背中を背もたれに預けた瞬間、どしんと思いがけず大きな振動となってしまった。

後ろには、あいつと坂井さんがいるのに。

そんなつもりはなかったんだけど、思わず耳を澄ませた。

みんなが寝静まっている中で、バスの走行音に混ざって微かに声がするのがわかる。

だけど、ほとんど何も聞こえない。

僕の耳には、届かないだけだろうか。

鼻からどっと息を吐きだした。