きみに ひとめぼれ


その後は、たわいもない話をしながら一緒に下駄箱まで降りた。

部活にはもちろん間に合わなかったんだけど、少しでも坂井さんと一緒にいて、何でもない話をするのが嬉しかった。

ただ、こうして一度勉強を一緒にしたり話をしただけで、関係が何か変わったかというと、男女の関係とはそう簡単なものではない。

あの日以来、俺たちは教室で話すこともないし、お互い話しかけることもない。

ただ、チラチラと相手の姿を探しあった。

時々坂井さんと目が合った気がするのはただの自意識過剰なのかもしれないけど、悪くはない。

目が合ったからって微笑み合ったり、ウインクしたりなんてしない。

すぐに目はそらす。

でも、坂井さんも俺を意識してくれてるのがわかる。

それこそ自意識過剰なのかもしれないけど。

でも、それだけで、今日という日を生きててよかったと思える。

今という時間が楽しくなる。

ただ、いつまでもそんな平穏な日々は続かないというのが世の中のセオリーだ。

俺の平穏な日々に不安をもたらす話題が急に飛び込んできた。