この物語はフィクションです

席へ戻った私は振り返り、後ろの席の凛香と話をする。


「それにしても、かなり広まってるみたいだね」


「だね。予想以上にバズったみたい」


――これには、正直びっくりした。


捨て垢でSNSにログインした凛香が、こそこそとスマホを見せてくる。


「凛香、これ私のよりフォロワー数多いんだけど」


「怖いもの見たさかな? みんな怖いの好きだね」


フォロワー数は三桁。いいねやRT、リプだけではなくDMもたくさん来ていた。


『怖っ!』


『何これ、すごーい!』


『楽しい、もっと怖いの見たい』


好意的なものもあれば、そうでないものもある。


『はい、嘘松』


『偽物じゃない?』


『どうせ合成してるんでしょ』


これには何も言い返せないけれど……。


『F高校ってうちのそばです。ってか、その高校に通ってますww』


『この話、知ってる。たしか、友達の友達が見たことあるって』


『狂子、俺も見たことあるかも』


作り話なのに『見たことある』なんて言っているのは、一体どんな人だろう。


「ありきたりな設定にしたからね。似たようなものを見たり聞いたりしたら、狂子だって勘違いしちゃうのかも」


凛香の言うとおりだったとしても、こんな騒ぎになるなんて思ってもみなかった。