この物語はフィクションです

――どうして……誰が勝手に……。


「いやっ……」


床に落ちたスマホの画面に、新しく投稿された動画が表示される。


――格子の窓から差し込む光だけで照らされた薄暗い室内。コンクリート打ちっぱなしの体育倉庫。


周囲のものを煽るように映すカメラのそばに、腹部をずたずたに引き裂かれたうさぎのぬいぐるみが落ちていた。


画面の奥で、何かが蠢いている。


ぼさぼさの黒い髪、白いワンピース、誰かに馬乗りになった女が、高く掲げた包丁を何度も何度も振り下ろす。


そのたびに、辺りに真っ赤な血が飛び散った。


「や”め”……て”……おね”が……い”……やめ”……てぇ……」


命乞いをしているのは美桜だろう。


ヒュー、ヒューと息の漏れる音がしたと思うと、ごぼっと何かを吐き出す音がした。


美桜は呻き声をあげる。


「あ”あ”……ああ”あ”あ”……ああ”……」


それでも女が包丁を振り下ろし続けると、そのうち何も聞こえなくなった。