この物語はフィクションです

鈴音というのは、死んだ子の名前と同じだ。


それなら、その子が狂子になったというの?


「菜奈、消して! 今すぐ消してよ! 早くっ!」


凛香に急かされてはっとした私は、スマホの画面に表示されている退会ボタンをタップする。


「早く! 急いでよ!」


「今やってる……」


それなのに、退会ボタンを何度押しても画面が固まってしまって先に進めない。


「退会って押してるのに、なんで?」


何度も、何度も、画面をタップする。


ガツンガツンと、爪の当たる音が響く。


その手に力がこもって、震えて、だんだん上手くタップできなくなってきた。


「いやあああああああああっ!」


突然、悲鳴を上げた美桜が駆け出す。


「待って、美桜!」


後を追って凛香もその場を離れる。


「……凛香! 美桜!」


SNSのページが勝手に切り替わり、投稿欄が表示される。


「何で……私、操作してないのに……」


キーボードが表示され、ひとりでに文字が打ち込まれる。