この物語はフィクションです

「菜奈がこんなにも驚いてくれるなんて、苦労したかいがあったね」


「全部作り話だったのに、菜奈、全然気づかないんだもん」


「ふたりとも……」


どういうことかというと、つまりこうだ。


「都市伝説を作るっていうのは、本当は菜奈を驚かせるために、私と美桜が仕組んだ罠だったってこと」


「でも、美桜が狂子を見たって……」


「狂子なんているわけないでしょー。私は驚かされたふりをしてただけ。全部演技だったの」


ふたりに騙されてたのは私の方だった、というわけだ。


「昨日のあれは? 学校の帰りに追いかけて来たのは?」


「あれは私。先に帰ったふりをして、逆に後を追いかけてたの。美桜は足が遅いから、私じゃないとできないと思って」


「じゃあ、白いワンピースの女の人は、美桜だったの?」


「そうだよ。凛香が菜奈を追いかけて、私が狂子に変装して現れたってわけ」


凛香が持っていたトートバッグのふたを開けて、こちらに見せる。


「さすがに信じただろうってところで、私と美桜のふたりがかりで驚かせようとしたの」


狂子の変装道具から、ハロウィンで使うような小道具。水鉄砲を手にした凛香は、私にそれを使って水をかけてくる。


頬がべしゃっと濡れた……って、さっきの。首筋に同じことをされたんだ。


「それ、美桜を驚かせるための道具じゃなかったの?」


「違うよ。最初からこれは、菜奈を驚かせるための道具だったんだよ」


まさか、自分を驚かせる手伝いをしていたなんて。


呆れたような、ほっとしたような……。


「よかった……本物じゃなくて……」