この物語はフィクションです

――どうして? なんでこんなところに閉じ込められたの? 美桜は? どこに行ったの?


慌ててポケットからスマホを取り出し、美桜に電話をかける。


すると、どこからかスマホが振動する音が聞こえてくる。


私のスマホじゃない。それなら、誰の……。


ゆっくりと立ち上がり、倉庫の奥へと進む。


バスケットボールやバレーボールの入ったかご。積み上げられたマット、跳び箱。埃と汗の臭いに噎せ返る。


得点板、ネット、平均台。物を避けながら歩いていくと、備え付けの棚の前に見覚えのあるケースに入ったスマホが落ちていた。


美桜のスマホだ。


拾い上げようとした私は、べっとりとした感触に驚いて手を引っ込める。


――何、今の……。


広げた手が真っ赤だ。


「ひいっ……」


絵の具じゃない。それなら……血?


思考を掻き消すように、扉の向こうから大きな物音が聞こえてくる。


「……嫌っ! 来ないで!」


あの声は、美桜だ。


急いで扉まで戻った私は、外にいるだろう美桜に呼び掛ける。


「美桜、どうしたの  そこにいるなら、扉を開けて!」


しかし、次の瞬間だ。


「きゃああああっ!」


悲鳴が聞こえたかと思うと、扉に――ドンッと何かがぶつかる。


「美桜……?」


わけもわからず焦る私の足元、扉の隙間から倉庫内に真っ赤な血がさらさらと流れ込んで来た。