この物語はフィクションです

美桜は「どこへ行ったんだ?」と担任に聞かれても、ただ首を横に振るしかなかった。


私は、ホームルームが終わるとすぐに美桜を探しに教室を後にする。


一時間目の授業が始まるまで、あまり時間がない。


「……美桜、いないの?」


教室の近くにあるトイレを覗いてみたけれど、美桜はもちろん誰もいない。


それなら保健室へ行ったのか。もしくは、屋上でサボっているのか。


その場を離れようとしたそのとき、ポケットの中でスマホが振動し始める。


――電話だ……。


物陰に隠れた私は、ポケットからスマホを取り出す。


画面に表示されていた『美桜』の名前を見ると、慌てて電話に出る。


「もしもし、美桜? 今、どこにいるの?」


「――菜奈……どうしよう……」


一体、何が起きているのだろう。


「――狂子がいる気がして、怖くなって。体育倉庫に隠れてて」


パニックでも起こしたのか、美桜は嗚咽混じりに恐怖を訴える。


「――私、怖くて……もう一歩も動けないよ……」


「大丈夫、私がすぐにいくから待ってて」


私は、電話を切ると急いでその場を後にする。