この物語はフィクションです

駅まではまだ少しある。大通りへ戻るにしても、どのみちひと気のない場所を通ることになる。


ぞわっと、寒気を感じて鳥肌が立つ。


ぶるっと身震いをした私は、思わずその場から駆け出す。


――たたたたたっ、たたたたたっと、走っていくと、


――たたたたたっ、たたたたたっと、追いかけてくる。


誰かが後をつけてきている。気のせいなんかじゃない。


怖くなった私は一気に細道を駆け抜ける。


背の高い塀が、木々が、こちらに迫ってくるように見える。


気のせいだ。恐怖がそう思わせているだけ。あと少し、あと少しで大通りに出られる。


揺らめく影を飛び除けて、飛んできた小さな羽虫に悲鳴を上げて。転びそうになりながら、ひと気の多い駅前まで来た。


私は、肩で息をしながら振り向いてみる。


何度見ても細道に人の姿はなかった。そのはずだったのに。


「……えっ?」


今、奇妙なものが細道を横切る。


数百メートルは離れているだろうか。目を凝らしてみると、それは白いワンピースを着た髪の長い女性だった。