この物語はフィクションです

正門を抜けて校外へ出ると、駅までは大通りを歩いていくことになるのだけれど。それだと遠回りになるからと、いつも住宅街の中の細道を通っていた。


歩行者信号の青が点滅している。


慌てて横断歩道を渡った私は、そのまま住宅街へ入る。


駅までは商業施設もないし、あるのは小さな公園くらいだ。車通りはもちろんほとんど人通りもない。


家屋の陰や木陰を歩いていると、細道を風が吹き抜けて、周囲の木々をざわざわと揺らす。


不意に立ち止まり、額の汗を手の甲で拭って。再び歩き出そうとしたそのときだ。


――かさっ、かさっ……と、背後から物音が聞こえてくる。


咄嗟に振り返ってみたけれど、細道には私ひとり。他に誰も見当たらない。


気のせいだったのだろうと思い、駅へ向かって歩き始めた。


私の足音と、もうひとつ、足音が重なって聞こえる。


――たんっ、たんっ、たんっと、歩いていくと、


――たんっ、たんっ、たんっと、ついてくる。


足音が気になって、もう一度振り返って見る。


けれど、やっぱり細道には私ひとりだ。