この物語はフィクションです

「菜奈は怖がりっていうか、ビビりすぎなんじゃない。こんなの楽しんだもの勝ちだよ」


凛香は、スマホを操作し始める。狂子の記事を追加するみたい。


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狂子は、精神異常者。


腹部をめった刺しにされて死んでたらしいんだけど、それも自分でやったんだって。


お腹を包丁で刺すなんて痛そう……。そうまでして、何がしたかったんだろ?


あれからまだ狂子は私のところには来てない。もうじき来るのかな?


誰か狂子のことわかる人いる? みんな私より詳しそうだから、知ってることがあったらどんどんリプしてね。


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そんな書き込みをしたら、今よりもっと大騒ぎになるかもしれないのに。


「美桜にだけじゃなくて、誰にも言わないでよ。バラしたらマジで絶交だから」


きつく口止めされ、それ以上何も言えなくなった。


「美桜が来たよ。菜奈、今の話は絶対内緒ね」


私と凛香は平静を装う。


美桜はいまだに狂子を怖がっているのか、そばでガタっと物音がしただけで身を縮め、びくびくと怯えた。


その様子を横目に見ていた私の中で、不安はどんどん膨れていったが、凛香の鋭い視線を気にしてだんまりを決め込んだ。